「レシピに『15分捏ねる』って書いてあったから、きっちり計ってやったのに…」 「『一次発酵は60分』守ったのに、なんだか膨らみが悪い…」
一生懸命レシピ通りに作ったのに、焼き上がったパンがカチカチだったり、膨らまなかったりすると、本当に悲しいですよね
実は、パン作り初心者が一番陥りやすい罠がここにあります。
それは、「生地の状態」よりも「時間(時計)」を信じてしまうこと。
パン作りは科学です。 その日の気温、湿度、手の温かさによって、ベストな捏ね時間や発酵時間は毎回変わります。つまり、レシピに書いてある時間はあくまで「目安」でしかないのです。
そこで今回は、レシピの時間を卒業して、「生地の顔色」を見て判断するプロのテクニックを解説します!
- 捏ね上がりを見極める「グルテン膜」のチェック方法
- 発酵完了を指一本で確認する「フィンガーテスト」
この2つをマスターすれば、もう「なんとなく」で作る不安とはサヨナラです。 「今日の生地、いい感じ!」と自信を持って言えるようになりましょう!
そもそも、なぜ「捏ね」が必要なの?

パン作りにおいて、なぜあんなに一生懸命生地を捏ねる必要があるのでしょうか? ただ材料を混ぜ合わせるだけではダメなのでしょうか?
その答えは、「グルテン」という風船を作るためです。
小麦粉が「風船」に変わる仕組み
小麦粉(強力粉)には、「グルテニン」と「グリアジン」という2つのタンパク質が含まれています。 これらは、水を加えて力を加える(捏ねる)ことで結びつき、「グルテン」という網目状の組織を作ります。
このグルテンは、例えるなら「風船のゴム」です
- イースト菌が発酵して「炭酸ガス」を出す。
- グルテンの膜がそのガスを逃さないようにキャッチする。
- ガスが溜まって生地が膨らむ。
もし捏ね不足でグルテンの膜が弱いと、「穴の空いた風船」に空気を入れているようなもの。 いくらイーストが頑張ってガスを出しても、全部漏れてしまい、パンは膨らまずに固くなってしまうのです。
失敗の原因No.1は「捏ね不足」
初心者の失敗の多くは、実は「捏ね不足」にあります。
手ごねの場合、レシピに「15分」とあっても、慣れていない方の15分と、プロの15分では、生地にかかる力が全然違います。 「もう疲れたからいいかな…」と早めに切り上げてしまうのが一番危険!
だからこそ、時間ではなく「膜ができているか」で判断する必要があるのです。
【実践】プロが教える「捏ね上がり」の見極め方
では、実際にどうなったら「捏ね完了」なのでしょうか? 今日から使えるチェック方法を伝授します。
時間ではなく「グルテン膜」で判断しよう
キッチンタイマーが鳴っても、まずは無視してください
生地の一部を切り取って、以下のテストを行います
成功のサイン「フィンガーテスト」のやり方

- 捏ねた生地から、ピンポン玉くらいのサイズをちぎり取ります。
- 両手の指先を使って、優しく、ゆっくりと四方八方に広げていきます。
- 向こう側の指が透けて見えるくらい、薄い膜ができれば合格!💮
💡 チェックポイント
- 薄く伸びて透ける → OK!(捏ね上がり)
- すぐにブチッと切れる → まだ!(捏ね不足)
- 膜が厚くてボテッとしている → もう少し!
もし切れてしまったら、あと3〜5分しっかり捏ねて、もう一度チェックしましょう。 この「薄い膜」こそが、ふわふわパンの命です!
なぜ「一次発酵」をするの?ただ待つだけじゃない!
捏ね上がった生地をボウルに入れて待つ「一次発酵」。 これは単に「大きくする時間」だけではありません。
イーストが働き、生地を緩めるリラックスタイム

一次発酵には2つの大きな目的があります。
- ガスの生成: イーストが糖分を食べて、炭酸ガスとアルコール(風味)を生み出す。
- 生地の緩和: 捏ねてパンパンに緊張したグルテン(ゴム)を緩ませて、伸びやすくする。
捏ねた直後の生地は、ゴムパッチンを限界まで引っ張った状態のように緊張しています。 発酵中に時間をかけて緩むことで、焼いた時にググーッと大きく膨らめるようになるのです。
温度が変われば時間も変わる
イースト菌は生き物なので、温度によって活動スピードが変わります。
- 30℃(夏): 元気いっぱい!早く膨らむ。
- 20℃(冬): 動きが鈍い。時間がかかる。
レシピ本が「夏に書かれたもの」か「冬に書かれたもの」かで、記載されている時間は変わります。 だからこそ、ここでも「時間」ではなく「見た目」が重要になります。
発酵完了のサイン!失敗しない「2つのチェック」
「そろそろ発酵終わりかな?」と思ったら、この2つを確認してください。
1. 見た目の大きさ(ビフォーアフター)

一番わかりやすいのは大きさです。 捏ね上がった直後の大きさと比べて、「2倍 〜 2.5倍」の大きさになっていればOKです。
👩🍳 Bakerゆうのコツ 発酵を始める前に、ボウルの側面にマスキングテープなどで「ここまできたら2倍!」という目印をつけておくと、一目でわかって便利ですよ♪
2. 生地の声を聞く「フィンガーテスト(指穴)」
大きさがOKでも、中身がどうなっているか確認しましょう。 これができれば失敗知らずです!
- 人差し指に強力粉をたっぷりつける。
- 生地の真ん中に、第2関節くらいまでズボッと刺す。
- 指を抜いて、穴の様子を観察する。
【判定結果】
- ⭕️ 穴がそのまま残る
- 発酵完了! ちょうど良い状態です。次の工程へ進みましょう。
- ❌ 穴がすぐに縮んで戻ってくる
- 発酵不足。 生地がまだ押し返す力を持っています。あと10〜20分延長しましょう。
- ⚠️ 生地全体がプシューと萎む
- 過発酵(やりすぎ)。 風船が割れてしまいました。こうなると戻せないので、急いで分割、成形をしていきましょう。2次発酵があればその時間を短くし(20分~30分)早めに焼いていけば問題ありません!
まとめ
いかがでしたか?
- パン作りは「時間」よりも「生地の状態」を見る!
- 捏ねは「薄い膜」ができるまで。
- 発酵は「指の穴が残る」まで。
この「科学的根拠」と「見極め」さえ知っていれば、レシピが変わっても、季節が変わっても、いつでも美味しいパンが焼けるようになります。
次回は、いよいよパンの形を作る「分割・ベンチタイム・成形」の工程です。 生地を傷めない「優しさ」がポイントになりますよ。お楽しみに!🍞


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